講師:Dr Kentaro Hoffman (University of Washington 研究員)
日時:令和7年5月20日(火)16:30~17:30
場所: 名城大学(天白キャンパス)共通講義棟東 E401室
題目:モデルとはどこまで入れ替え可能なのか?: 統計的推論に用いる大規模予測
モデルの再学習の意思決定理論的アプローチ
要旨: 近年、人工知能(AI)や機械学習(ML)を用いた大規模予測モデルは、
さまざまな産業や科学分野で広く利用されるようになっています。
AIやMLモデルの大規模な学習には数万〜数十万ドル(あるいはそれ以上)
の費用がかかる場合があり、学習後もモデルを最新の状態に保つためには
多大なリソースが必要です。
本研究では、AI/MLモデルの出力を部分的に利用して統計的推測を行う際、
モデルを再学習(refit)すべきかどうかを判断するための意思決定理論的
枠組みを提案します。
本手法では、ポートフォリオ最適化理論に着想を得て、モデルの再調整
(recalibration)と再学習(refitting)を2つの「投資対象」とみなし、
その選択を意思決定問題として定式化します。前者は、既存のモデルを
用いた迅速かつ低コストな対応ですが、サンプリングの不確実性やモデル
ドリフトへの脆弱性を伴います。一方、後者は高コストながら、モデル
ドリフトの影響を取り除く利点があります(ただし、サンプリングに起因
する統計的な不確実性は残ります)。
本研究は、統計的妥当性を保ちながら、これら2つの選択肢のバランスを
とるための枠組みを提示します。最後に、電力使用量データおよび
インフルエンザ流行の予測データを用いたシミュレーションによって、
本枠組みの有効性を評価します。